やすだに暮らす/暮らす人々の横顔

大心劇場
小松秀吉さん

安田に帰って来て情報を発信するには、
歌と劇場がありました。

安田・中芸に映画の灯を消さないように。

「うちの劇場には50年前のスピーカーがあるんです。田野にあった劇場からもらってきてね。今もセンターで現役で鳴らしてる。シネコンはフル装備、うちは古装備(笑)。今はもう高知市内しか劇場がない時代で、常時の上映は難しいけど、単発の勝手な上映をしながら、映画の灯は消さんようにしたいです」。
山の映画館「大心劇場」の店主であり、ふるさと土佐をテーマに数多くの歌を唄うフォークシンガー「豆電球」として、小松秀吉さんは安田や中芸地区のエンターテイメント情報を出し続けています。安田生まれ、安田育ち。少し大阪にいたけど「長男だから帰らないといけないという風潮があった」と安田へUターンしました。それからは自分たちの畑で農業をしながら父親の映画館を手伝い、副業も持ちながら劇場を続けて来ました。
この劇場を守っていこうと決めてからは、店主として、映写技師として、看板の制作担当として、一人で何役もこなしています。
「劇場を続けるということは機械を回すこと。カチカチ回さないと調子が狂うし、アンプや電機系も月に一回は電気を通さんと。月に一回の上映ですが、ファンも一人、二人増えていって、今に至っているんです。これも映画ファンの皆さんのサポートのお陰ですね。自然の中に劇場があるということは、観終わった人を自然が見送ってくれるということ。そこではお客さん同士や自分たちともコミュニケーションが生まれるんですよ」。

自然体で地域を伝えていきます。

大阪から安田に帰って来た時に、安田から情報発信しなければという思いがあり、そこで「豆電球」につながったと小松さん。ギターを弾いて土佐の高知の歌を唄う。それが県外から見ると情報発信に。地域の歌をつくってそれをアピールしながら、安田と高知県を盛り上げています。
「今は自然体で歌や劇場をやっているだけなんです。でも人からは『それが地域おこしになる』といわれることがあります。僕自身は地域おこしをしているという意識はないんですけど、こうやって自然体にやっていることが、地域おこしになっているというのが、一番無理がない形でしょうね」。
大らかな時間が流れる安田町、その代表といえる小松さんも、自然体で活動を続けていきます。

  • 小松さんにとって安田川は特別な存在のようです。川だからこそ、安らぎや自然の中での遊びができ、子どもたちも伸び伸び育っている。山あり谷あり海が近い。最高の自然環境だといいます。

大心劇場 喫茶「豆でんきゅう」
高知県安芸郡安田町大字内京坊992-1MAP
Tel 0887-38-7062
喫茶「豆でんきゅう」毎週月曜休み

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